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長野地方裁判所 平成8年(わ)93号 判決 1996年12月24日

主たる事務所

長野県北佐久郡御代田町大字御代田四一〇七番地四〇号

法人の名称

医療法人 社団御代田中央記念病院(代表者清水一功)

本籍

長野県小諸市大字滝原六八〇番地

住居

東京都中央区佃一丁目一一番七-三、七〇四号

法人理事長

清水一功

昭和一七年一一月二九日生

事件名

法人税法違反被告事件(被告人両名)

検察官

保倉裕

主文

被告人清水一功を懲役一年に、被告人医療法人社団御代田中央記念病院を罰金二〇〇〇万円に、それぞれ処する。

被告人清水一功に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人医療法人社団御代田中央記念病院(以下、「被告法人」という。)は、長野県北佐久郡御代田町大字御代田四一〇七番地四〇号に主たる事務所を置き、病院の経営等を目的とする出資金八一四〇万円の医療法人であり、被告人清水一功は、同医療法人の実質的経営者としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人清水一功は、同医療法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空経費を計上し、同金額を被告人清水一功に対する未払金とするなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における同医療法人の実際所得金額が八一八七万三五八八円であったにもかかわらず、平成四年六月一日、長野県佐久市大字岩村田一二〇一番地の二所在の所轄佐久税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二五五万三四一〇円でこれに対する法人税額が九七五万九七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同医療法人の右事業年度における正規の法人税額二九八九万一六〇〇円と右申告税額との差額二〇一三万一九〇〇円を免れ

第二  平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における同医療法人の実際所得金額が一億五三九四万四六〇三円であったにもかかわらず、平成五年五月三一日、前記佐久税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五八三万八二三三円でこれに対する法人税額が一二六六万二四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同医療法人の右事業年度における正規の法人税額五六九五万二二〇〇円と右申告税額との差額四四二八万九八〇〇円を免れ

第三  平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度における同医療法人の実際所得金額が一憶一九三七万五八四五円であったにもかかわらず、平成六年五月三一日、前記佐久税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七二九万二三九円でこれに対する法人税額が四五六万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同医療法人の右事業年度における正規の法人税額四三九九万五二〇〇円と右申告税額との差額三九四二万六六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

判示の全事実につき

一  被告人清水一功の公判供述、検察官調書三通(乙一、五、六)

一  医療収入調査書(甲一)、期首医薬棚卸高調査書(甲二)、期末医薬棚卸高調査書(甲四)、給料手当調査書(甲五)、福利厚生費調査書(甲七)、給食材料費調査書(甲九)、旅費・交通費調査書(甲一〇)、消耗品費調査書(甲一一)、修繕費調査書(甲一三)、水道光熱費調査書(甲一四)、図書研究費調査書(甲一五)、雑費調査書(甲一九)、事業税認定損調査書(甲二三)、交際費の損金不算入額調査書(甲二四)、未払金調査書(甲二六)、代表者勘定調査書(甲二七)

一  回答書(甲二八)、証拠品複写報告書(甲三三)

一  電話聴取書(甲二九)

判示冒頭事実につき

一  小林利彦の検察官調書(甲三四)

一  登記簿謄本六通(乙七ないし一二)

判示第一、第二の各事実につき

一  検査料調査書(甲八)、負担金調査書(甲一七)

判示第一、第三の各事実につき

一  雑収入調査書(甲二一)、法人税特別控除額調査書(甲三二)

判示第一の事実につき

一  被告人清水一功の検察官調書(乙二)

一  小林利彦の検察官調書(甲三六)

一  会議費調査書(甲一八)

判示第二、第三の各事実につき

一  医薬品仕入調査書(甲三)、減価償却費調査書(甲一二)、ガソリン費調査書(甲一六)

判示第二の事実につき

一  被告人清水一功の検察官調書(乙三)

一  小林利彦の検察官調書二通(甲三七、三八)

判示第三の事実につき

一  被告人清水一功の検察官調書(乙四)

一  小林利彦の検察官調書二通(甲三九、四〇)

一  法定福利費調査書(甲六)、受取利息調査書(甲二〇)、道府県民税利子割調査書(甲二二)、寄付金の損金不算入額調査書(甲二五)

(法令の適用)

被告人清水一功につき

罰条

判示各所為 法人税法一五九条一項

刑種の選択 いずれも懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予 刑法二五条一項

被告法人につき

罰条

判示各所為 法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

(裁判官 仲宗根一郎)

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